むずかしいニュースこそ、「見て」学ぼう 全図解ニュース解説

その時気になる経済ニュースを、写真や図解を使いながらわかりやすく解説するコーナーです。

ニュースとニュースのつながりや、過去から現在への流れ、
そして今後への影響などを「立体的」に理解することができます。

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テーマ小売業の宅配サービス最新事情

インターネットの普及や高齢者・共働き世帯の増加などに対応し、小売り大手が宅配サービスを拡大しています。大手スーパーはネットスーパー事業の展開を加速、コンビニエンスストア各社は弁当や総菜の宅配サービスを本格化しています。ただ、配送コストなどの負担が大きいため事業の黒字化が難しいうえ、ネット通販専業が食品宅配サービスに参入するなど、「玄関先をめぐる競争」は激しさを増しています。今回は小売り大手が宅配サービスに注力している背景や関連企業の動向、事業の課題などについて解説します。

1. 2000年代にネットスーパーへの参入が相次ぐ

1. 2000年代にネットスーパーへの参入が相次ぐ

 小売り大手の宅配サービスの代表がネットスーパーです。ネットを通じて生鮮食品や日用品の注文を受け付け、最短2、3時間で注文した人の自宅まで届けるサービスです。注文を受けると、発注者宅の最寄りの店舗の従業員が店内から商品を集め、宅配業者が自宅まで届けます。専用の配送センターを設ける企業もあります。西友が2000年に国内で初めて導入したのに続き、セブン&アイ・ホールディングス傘下のイトーヨーカ堂が07年から本格展開を開始、08年にはイオンが参入するなど、大手スーパーの事業化が相次ぎました。
 ネットスーパーの市場は着実に拡大しています。イトーヨーカ堂のネットスーパー事業の07年度の売上高は50億円、会員数は17万人でしたが、11年度にはそれぞれ350億円、116万人に達しています。スーパー全体の売り上げが伸び悩む中で、ネットスーパーは売り上げ増加に貢献する有効な手段として期待が高まっており、大手スーパーは事業を強化しています。
 ネットスーパー事業は実店舗の在庫をそのまま使えるため、追加の設備投資を抑えながら参入できる利点があります。半面、店舗の在庫に依存すると、注文が多過ぎると応えきれず品切れになりやすい弱点があります。そこで、需要の取りこぼしをなくすため、受注・配送体制を強化する企業も増えています。イトーヨーカ堂は15年度までに、30店を対象に閉店後にネットスーパー専用担当者が受注商品を梱包する仕組みを整え、受注能力を倍増。1日の配送回数も全店で3割増やすことで、15年度の同事業の売上高を11年度比3倍の1000億円に伸ばす計画です。住友商事グループが運営するサミットネットスーパーのように、大量注文に対応できるよう専用の在庫と配送センターを確保している例もあります。
 利便性や使い勝手の向上にも余念がありません。西友は12年11月にネットスーパーのサイトを全面刷新しました。実際の売り場での買い回りを意識した設計が特徴で、例えばニンジンを目当てに「売り場」に入ると産地や価格を示したニンジンの真横に「まわりの売り場」と表示された小窓が出てきて、カレー・シチュー向けのジャガイモやカブなどを紹介。精肉売り場で米国産牛肉を探すと、国産の豚肉や焼き肉のタレが一緒に表示されます。
 このほか、実店舗との価格差をなくすため、一定額以上を購入すれば配送料を無料にする企業が増えています。

2013年11月4日掲載